先日読んだ実業家である堀江貴文さんとサッカー選手の対談本。
その中で、堀江さんが日本代表GKの川島永嗣選手と対談している章があるんですね。
一応この本は「ビジネスや生き方についてサッカー選手から学ぼう」って本ではあるんですが、堀江さんと川島選手の対談の中でGKの育成や環境に関する話がこれでもかというぐらい出ていたので、今回はその中からいくつか「日本人GKのレベルアップのために必要なこと」を中心に書いていこうと思います♪
才能を伸ばすには加点主義
川島選手いわく日本でプレーしていた時に感じたのは
「日本の場合、評価基準が減点主義である」
ということだったそうです。ミスさえしなければOKで、安定しているキーパーであるという評価。そのため平均的な資質の高い選手が評価されやすかったとのこと。
一方海外での評価基準は違ったんですね。そのことを川島選手は次のように語っています。
でも、海外は違って「どれだけ難しいシュートが止められたか」とか「チームが危ない場面でどんな仕事ができるか」というところが評価の対象になるんです。だから、最初から「このキーパーなら、それくらいのことはできるだろう。その上で、このプレーはどうだ。」という感じで評価されます。例えば海外のキーパーってたまにすごくミラクルなセーブをしたりするじゃないですか?あれも評価の1つで、ああいうプレーをできるかどうか、その資質があるかというのも評価対象になるから、平均的に能力の高い選手より、少々荒削りの選手の方が試合に起用されることもあります。
引用元:なぜ君たちは一流のサッカー人からビジネスを学ばないの? p93
平均的にレベルの高い選手よりも、多少荒削りでもビッグセーブで決定的な場面を防げる選手が評価されやすいというのはなるほどなと思いました。
ちょっと前ならフランス代表のファビアン・バルテズとかまさにそんな選手だったかなぁ。結構ミスもするんだけど、「それ止める?」っていうビッグセーブがあったりもして彼は長い間フランス代表の正GKとして君臨してました。
スキンヘッドの個性派GK!ファビアン・バルテズを紹介しよう。 - GKが大好きな男のブログ
他にも現役の選手や引退したGKの選手で名前を覚えてるのって、やっぱり「すんごいミラクルなセーブでチームを救った。」とか「大事な試合で決定的な場面を防ぎまくった」みたいな選手ですからね。
もちろん安定感っていうのも大事だし、あまりにミスが多いGKっていうのもどうなのよ?って話ではあるんだけど、高いレベルになればなるほど相手に決定的な場面をつくられてしまうことも多くなる。それは世界トップのチームでも変わりません。レアルでも、バルサでもバイエルンでもチェルシーでもユーベでもどこでもおんなじ。
どんなに強固なDF陣だとしても、やっぱり破られちゃうことはあるわけです。そこで最後の砦であるGKがどれだけ貢献できるか。だからこそユーベにはブッフォンがいて、バイエルンにはノイアーがいて、チェルシーにはクルトワがいるわけですね。
平均的なGKなんか求められてない。スーパーなプレーが出せるかどうか。そういうプレーに対してはドンドン加点して評価していく。
日本だと「決められてしまった」というようにネガティブに表現されることが多いけど、ヨーロッパでは「すごいセーブでピンチを救った!」みたいにポジティブに表現されることが多いから、子供たちもキーパーに憧れるんだと思います。
引用元:なぜ君たちは一流のサッカー人からビジネスを学ばないの? p101
まずは、ヨーロッパのように評価の基準を変える。これが大事なのかもしれませんね。
メディアはもっとGKを取り上げろ!!
これは川島選手だけじゃなく、日本でGKに関わっている人すべてが感じていることだと思います。
「メディアがGKを取り上げる機会が少なすぎる!!」
ということです。僕は色々なサッカー番組を見るんですが、基本的に取り上げられるのはゴールシーンが中心です。あとはやっぱりフィールドプレイヤーのスーパープレーが多い。
もちろんごくまれにGKにスポットが当てられたりもしますが、やっぱりそれはフィールドプレーヤーと比べても確実に少ないんですよね。露出が足りないんです。
一方、ヨーロッパではキーパーの注目度が違います。
いわゆる『ベストゴール』ならぬ、キーパーのベストセーブ集とかがメディアで取り上げられることもあるし、ヨーロッパだと必ず『今週のベストセーブ』みたいな感じで、キーパーのセービングのベスト5が発表されます。日本ではまずないですけど。
引用元:なぜ君たちは一流のサッカー人からビジネスを学ばないの? p118
いやぁ、ほんとこの違いはデカいですよね。日本でベストセーブ集なんて放送されることまずないじゃないですか?でも、あっちじゃ当たり前のようにある。全然露出度が違うんですよね。
そんで、何でこれが大事かっていうと露出度が上がれば子供たちがもっとキーパーというポジションに注目してくれるだろってことです。毎回カッコいいGKのベストセーブ集を放送して、「キーパーってすげぇんだ。」「キーパーってこんなカッコいいんだ。」って思う子供が増えてくる。その中から「自分もキーパーをやってみたい子が出てくる。」そうなると、競争がうまれますよね?
川島選手も本書の中で言ってましたけど、ヨーロッパだと育成年代からいいキーパーがうじゃうじゃいるという環境です。競争もすごく激しい。じゃあ、なんでそんなにいいキーパーがたくさんいるのかっていうと、「たくさんの子供たちがGKとしてプレーをしているから。」ってことなんですよね。単純にキーパーをやりたいって子が多いんです。
でも、たくさんの子供たちにキーパーを目指してもらうにはまずキーパーという存在をもっと認識してもらわなければならない。もっと「キーパーっていいんだぜ!!」っていうのを感じてもらわなければならない。そのためにはもっともっとメディアがGKを取り上げていく。そうやってGKのすそ野を広げていくということが大事になってくるのではないでしょうか?
ハイレベルの環境でプレーせよ。
今の日本代表のGKで海外でプレーをしているのは川島選手だけです。彼自身、一時期無所属の状態があって、それでも海外でプレーすることにこだわっていたんですね。じゃあ、何でそこまで海外なのか?って話なんですが、対談の中で「なるほどね。」と思える部分がありました。
それは無所属だった6カ月の間位にハッキリ見えましたね。というのも、その間に岡崎慎司がいるイングランドのレスター・シティの練習にも2週間くらい参加させてもらったんですけど、そしたら、ベルギーとイングランドでは、練習でさえ、飛んでくるシュートの威力が全然違うんです。その時に「こんなシュートを毎日受けていたら、そりゃあキーパーも上手くなるわ」と。上手くなるというか、すごいシュートを止められるようになるわ、と素直に感じた。そのことは日本からベルギーに移籍したときも感じたことだったのに、そのベルギーからイングランドに行けば、さらに感じたわけですからね。つまり、その環境でプレーしているかどうかで、シュートが飛んできたときに「こんなシュートは受けたことがないから止められないな」と思うのか「これを止めるのは当たり前だな」と思うのか、絶対に違ってきますからね。ということを考えると、やっぱりより高いレベルに、という欲は出ます。
引用元:なぜ君たちは一流のサッカー人からビジネスを学ばないの? p132~133
確かにイングランドのチームなんかは、中堅どころでさえ各国の代表クラスの選手たちが集まってきます。当然のことながら、練習中からプレーの質は高い。GKからしても練習時から高いレベルの選手たちの攻撃を防がなければならないわけです。そんな環境に身を置き続けていれば自然にレベルが上がっていく。川島選手はそのことを海外でのプレーで実感したのでしょう。
そういえば、先日川島選手は所属チームで試合に出場していないにもかかわらずアジア最終予選で日本代表のスタメンGKに復帰しました。正直僕も「試合に出ていないのに先発で大丈夫かよ。」と思ったのですが、そんな不安を川島選手はいい意味で裏切ってくれましたね。
UAE戦では1対1の決定的なシーンを防ぎましたし、タイ戦でも好セーブを連発しPKも止める大活躍でしたから。
ああいうプレーができるのも、所属しているフランスのリーグアンのFCメスで日ごろから高いレベルのチームメイトと練習しているからと考えると納得です。
もちろん、Jリーグにもいいキーパーは沢山います。川島選手もヨーロッパに行って「日本人GKでも通用する」という実感はあるそうです。なのであとは、実際にヨーロッパに行きハイレベルの選手たちと練習して、普段からその選手たちの攻撃を防ぐ練習をするか、要は慣れの部分っていうのかな、そういう部分も日本人GKのレベルを上げるために大事な要素なんだろうと思いました。
まとめ
今回は堀江貴文さんと川島永嗣さんの対談から「日本人GKのレベルアップに必要なこと」について考えてみました。
本書ではこういったサッカーの話だけでなくビジネスや教育の面でも役に立つ話がたくさんあるので、興味がある方はぜひご覧になってみてください♪
それでは失礼いたします。